読売ボランティアセンターの2団体から活動報告(2020年11月)
事業団が運営する「読売ボランティアセンター」(東京都豊島区南大塚)では、事業団の助成を受け、視覚障害者支援のために朗読と点訳の2団体がボランティア活動をしています。今年5月の目白からの移転後、2団体から活動報告がありました。
朗読グループは、元NHKアナウンサー森川靄子代表のもとで録音図書の製作と高齢者福祉施設での福祉朗読の活動に取り組んでいます。録音図書は、DAISY版CDで5冊の雑誌(中央公論、きょうの健康、ラジオ深夜便など)や冊子のほか、利用者から依頼のあった図書で、再生専用機やアプリケーションを利用して聞くことができます。
【以下、報告】
毎月、ご利用者の皆さまに送る定期刊行物の録音図書は、新型コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言中も全誌滞ることなくお届けすることができました。センターが6月から本格的に使えるようになり、ご利用者からの録音依頼や、お問い合わせにもお応えできるようになりました。
しかし、特別養護老人ホーム「よみうりランド花ハウスすみれ館」や豊島区社会福祉事業団の老人ホームに訪問して行う朗読会は、コロナ禍のため中止になっています。再開を楽しみにしているとお聞きしていますので、状況を見ながら再開を検討します。活動について全員で話し合う定例会も、コロナ禍で会場の利用人数が制限され、毎月の会場確保は大変です。そのため、朗読グループのHPを活用したり、ズームミーティングのマニュアルを配布したりして、コミュニケーションを図る工夫をしています。
また、よみうりカルチャー荻窪の福祉朗読講座を修了した6人が朗読グループ内のデジタル図書講習などを終えて、10月に正式入会し、総勢87人となりました。ご利用者の皆さまに録音図書を提供し続けることを第一に、今後も我々に何ができるか、模索検討しながら活動を続けていきます。
点訳サークル・ウィズ(江上久美子代表)は、個人からの依頼を中心に、放送大学の教科書やテスト、劇団の公演予定表やプログラム、月刊落語情報誌「東京かわら版」、月刊俳句同人誌などの点訳をしています。また、点訳の世界では不可能とされている漫画「エバンゲリオン」、ゲーム攻略本「ドラゴンクエスト」など、難解な新分野の点訳にも挑戦しています。
【以下、報告】
コロナ禍の中、引越しも無事終わり、お陰様で明るい広々としたセンターで新型コロナウイルスの感染対策を取りながら、点訳、校正作業をさせていただいております。
私たちの長年の利用者である下奥重望さんから、「上級救命講習テキスト」の依頼があり、試験まで短期間でしたが、迅速に点訳を終了致しました。下奥さんは高得点を取り、視覚障害者では初めて上級救命技能認定書が授与されました。このテキストをサピエ図書館(ウェブ上の点字図書館)に登録したところ、10月までに59人の視覚障害者の方がダウンロードされました。上級救命認定試験を目指される方がこんなにいたことに驚きました。今までは点訳されたテキストがなかったことで受験が叶わなかったと聞き、役立ってよかったです。
テストの点訳、墨訳をお引き受けしているルーテル学院大学(東京都三鷹市)からは、視覚障害のある男性が9月に卒業し、就職も決まったとの嬉しいご報告をいただきました。また、コロナ禍で公演もままならなかった様々な劇団が、新作公演に踏み切り始め、10月には劇団民藝のチラシ90部の依頼もありました。
今後も視覚障害者の方々の自立の役に立つ、また生活を少しでも豊かに出来るような点訳活動を続けていきたいと思っております。
劇団の年間公演表を作成した作業の様子をご覧になる方はこちら.pdfから。