奨学生からの卒業・就職報告

読売・郡司ひさゑ奨学生8人が卒業(2024年04月)

 児童養護施設や里親家庭の出身者の進学を支援する「読売・郡司ひさゑ奨学基金」の奨学生は今春、22期5人、23期1人、24期2人の計8人(男性4人、女性4人)が大学等を卒業しました。アルバイトをする1人を除き全員が会社などに就職しました。職種はシステムエンジニア、建設会社の施工管理、林業の起業、中学校教師、カフェのスタッフ、こども園の保育教諭、美容師。

 8人の卒業報告はこちら.pdfからご覧になれます。

 創作活動に取り組む女性.jpgシステムエンジニアの道を踏み出したのは、東北地方の児童養護施設出身で、首都圏の私立大学を卒業した女性です=写真=。このほど卒業報告で充実した大学生活を振り返っていただきました。コロナ禍で「思うような大学生活を送れなかった、と言われることも多くなる」としていますが、「大学生活前半は不思議と充実したものでした」と打ち明けてくれました。女性は幼いころから本が好きで、俳句や小説などの創作活動が趣味でした。大学入学後も創作活動はますます盛んで、全面オンライン授業となった1学年の時は恋愛小説に挑戦。「30万字という我ながら驚異的な長編に至り、一つの物語として綺麗に完結させることができました」といいます。大学の創作コンペティションで初めて応募した作品は佳作に選ばれたといい、「嬉しかったと同時にもっと上を目指そうと気持ちを新たにした」そうです。

 2年次は対面授業も始まりましたがほとんどがオンライン授業。そんな中でも女性は数少ない対面授業の機会をとらえ、交友関係を広げたり子供たちへの教育支援(チャレンジプロジェクト)を行ったりなど「実り多き活動」ができたといいます。全面的に対面授業が再開された3年次は不足気味の単位を取る一方、4月後半から就活のための合同説明会、気になった会社への積極的な1dayインターン等に参加するなど大忙しでした。秋には早期選考にも積極参加。11月に見事内定を取りました。一方で「1限に授業を週4で入れ、更にチャレンジプロジェクト、就活とかなり奔走し疲れたのも事実」といい、後輩へ「単位は計画的に取るように、あまりスケジュールを詰めすぎないように」とアドバイスしていました。4年次は、「俳句と小説の融合」と題した卒業制作に、ひたすら取り組む日々だったようです。「就活の不安がない状態で卒業制作に臨めたことは本当に良かった。春学期はなかなかギアがかからず苦戦しましたが夏休みに本腰を入れ、無事に完成することができました。難しいテーマでしたが、納得のいく出来でした。奨学金のおかげで充実した大学生活を送ることができ、本当にありがとうございました」と締めくくってくれました。

一方で、24期1人、25期1人の計2人が通学していた学校を中退するなどし、奨学生の資格を失いました。

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