第18回読売療育賞に仙台エコー医療療育センター(2022年10月)
重症心身障害者施設の優れた実践研究を表彰する「第18回読売療育賞」(読売光と愛の事業団主催、重症心身障害療育学会協力)の受賞施設が決まりました。読売療育賞は、入所者に対する視線入力装置の活用について研究した仙台エコー医療療育センター(仙台市青葉区)=写真下、学術集会での発表の様子=でした。記念のトロフィーと助成金50万円を贈ります。
最高賞である読売療育賞に選ばれた仙台エコー医療療育センターのチームは、作業療法士の近江奈津子さん(40)と下雲典子さん(41)、理学療法士の中野渡志保さん(41)、医師の天江新太郎院長(56)の4人です。
4人の研究は、重い障害によって自由に気持ちや感情を表現したり、遊んだりできず、また、口や足によってもパソコンなどの機器を操作できない人たちが視覚でパソコン画面上に自分の意思を表現できる視線入力装置の効果的な活用法に関するものです。
視覚での意思疎通が期待できる同施設の入所者15人を身体レベルなどで区分けし、眼球の動きや注視・追視の様子を把握できるよう画面に映し出される視点の動きをより詳しく可視化して分析しました。その結果、装置操作の際に頭の位置を変えるなど、個々の状態に合わせた工夫でより効果的に活用でき、それによって重い障害がある人が視覚で気持ちを伝える方法や遊びの種類を増やせる可能性が高まったということです。
近江さんは「日々実践している作業療法の訓練介入に評価をいただき、たいへん光栄です。今後、個々の可能性の拡大につなげていきたいです」と話していました。
視線コントロールの練習をする入所者(右)と近江さん(仙台エコー医療療育センターで)
奨励賞(助成金30万円)は、済生会明和病院なでしこ(三重県明和町)、堺市立重症心身障害者(児)支援センターベルデさかい(堺市)、神戸医療福祉センターにこにこハウス(神戸市)の3施設が決まりました。
受賞された施設の方々。右端が読売療育賞を受賞した仙台エコー医療療育センターの近江奈津子さん
審査は10月7日、高知市内で同学会のメンバーによって行われ、同日の学術集会で表彰されました。
4団体の研究内容などは、読売新聞の地域版でそれぞれ紹介されました。記事はこちら.pdfからご覧ください。