第10回読売療育賞「青森県立あすなろ療育福祉センター」に(2014年10月)
重症心身障害者施設の優れた実践研究を事業団が顕彰する「第10回読売療育賞」が決まりました。最優秀賞(副賞50万円)は、青森県立あすなろ療育福祉センター(青森市)で、病棟のおむつなどの排せつ臭対策をマニュアル化することで臭いの軽減につなげ、入所者の快適な療育生活や職員が働きやすい環境を整えたことが評価されました。
研究メンバーは生活支援課の看護師・工藤美由紀さん、工藤淳子さん、須藤美由紀さんの3人。
研究を始めるにあたり、看護師17人にアンケート調査した結果、おむつなどから出る排せつ臭を一番の悩みに上げる人が多数いました。入所者の約9割がおむつを使用しており、おむつ交換はトイレや居室で行われています。そこで、トイレや居室計18か所の臭気を計測したところ、トイレの数値が1番高いことが分かりました。トイレの仕切りは、車いすが出入りしやすいようカーテンにしているため、臭いが外に漏れやすい状況でした。おむつの細かい廃棄方法も定まっておらず、新聞紙に包んだだけで廃棄箱に捨てることもありました。
そのため、おむつを廃棄箱に入れる際、ビニール袋に入れ、口を縛って密封することをマニュアル化しました。また、マニュアルを書棚ではなく、おむつ交換場所に置くことで取り組みを徹底。その結果、トイレの臭気は激減しました。職員も改善を実感できたそうです。
須藤さんらは「入所者や家族が病棟で少しでも快適に過ごせるよう、これからも努力を続けていきたい」と話していました。
副賞30万円が贈られる敢闘賞には、大倉山学院(北海道小樽市)、秋津療育園(東京都東村山市)、堺市立重症心身障害者(児)支援センター「ベルデさかい」の3施設が選ばれました。各賞は10月3日に徳島市で行われた重症心身障害療育学会で表彰されました。
入所者を介助する工藤美由紀さん(左)と須藤美由紀さん
(青森県立あすなろ療育福祉センター)
歴代の読売療育賞受賞施設
第10回(2014年) | 最優秀賞 | 青森県立あすなろ療育福祉センター(青森市) 「オムツ交換行動への介入による消臭効果の検証」 |
敢闘賞 |
大倉山学院(北海道小樽市) |
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第9回(2013年) | 最優秀賞 | 旭川児童院(岡山市) 経腸栄養剤利用者のためのスープ開発 |
敢闘賞 |
千葉リハビリテーションセンター愛育園(千葉市) |
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第8回(2012年) | 最優秀賞 | 長岡療育園(新潟) 超重症児の声かけ反応証明 |
敢闘賞 |
聖母療育園(千葉) |
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第7回(2011年) | 最優秀賞 | 聖隷おおぞら療育センター(静岡) 重症児の日常活動の研究 |
敢闘賞 |
あしかがの森足利病院(栃木) |
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第6回(2010年) | 最優秀賞 | 北海道済生会西小樽病院みどりの里 超重症児病棟における音環境の研究 |
敢闘賞 |
小羊学園つばさ静岡(静岡市) |
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第5回(2009年) | 最優秀賞 | びわこ学園医療福祉センター野洲(滋賀) 摂食機能障害の分析と対応 |
敢闘賞 |
札幌あゆみの園 |
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第4回(2008年) | 最優秀賞 | わかば療育園(広島) 重症心身障害児(者)の視力検査結果に基づく療育活動 |
敢闘賞 | 北海道療育園 あしかがの森あしかが通園センター(栃木) 東京都立東部療育センター 神奈川県立こども療育センター 聖隷おおぞら療育センター(静岡) 南愛媛療育センター(愛媛) 久山療育園重症児者療育センター(福岡) はまゆう療育園(熊本) |
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第3回(2007年) | 最優秀賞 | 愛知県心身障害者コロニーこばと学園 重症心身障害児(者)の生活の質に関する研究 |
敢闘賞 | 秋津療育園(東京) 小羊学園つばさ静岡 びわこ学園医療福祉センター草津(滋賀) 砂子療育園(兵庫) 旭川荘療育センター児童院(岡山) 江津湖療育園発達医療センター(熊本) 佐賀整肢学園こども発達医療センター やまびこ医療福祉センター(鹿児島) |
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第2回(2006年) | 最優秀賞 | 島田療育センター(東京) おむつ内の温湿度変化から捉えた取り組み |
敢闘賞 |
北海道済生会西小樽病院みどりの里 |
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第1回(2005年) | 最優秀賞 | 横浜療育医療センター(神奈川) 超重症者に対する口腔ケアの取り組み |
敢闘賞 | 北海道療育園 長岡療育園(新潟) むらさき愛育園(東京) みどり愛育園(東京) 神奈川県立こども医療センター 小さき花の園(神奈川) 山梨県立あけぼの医療福祉センター おおぞら療育センター(静岡) |