復興支援大学等奨学生 最終5期生が卒業(2021年04月)
復興支援大学等奨学生 最終5期生が卒業
東日本大震災で被災し、経済的に進学が困難な高校生の進学を支援する「読売光と愛・復興支援大学等奨学金」 (読売新聞社後援、ウエルシア薬局協賛) は、2017年4月入学の最後の5期生4人が、震災10年の節目となる今年3月に卒業しました。2013年4月に支給が始まった奨学金に、長い間ご支援いただきありがとうございました。
思い半ばで学業から離れざるを得なかった奨学生もいましたが、支援を決めた37人中34人が卒業し、それぞれが希望する社会に旅立つことができました。奨学生1人に毎月5万円ずつ年間60万円に加え、2020年7月にはコロナの影響によるアルバイトの減収に対する緊急応援金5万円を支給、協賛のウエルシア薬局様をはじめとする皆様のご寄付により8年間で総額7,800万円に上る奨学金を贈りました。
今春卒業した4人の進路は、小学校教諭、幼稚園教諭、橋梁専門の建設会社、陸上自衛隊です。宮城教育大学を卒業し、宮城県内で小学校教諭となる長谷部彩佳さんは、「この4年間で非常に多くの経験や体験を通じて学びを深められた」と話し、大学の311ゼミナールでの活動や、教師としてスタートを切る思いなどについて、卒業報告がありました。
卒業生4人の卒業報告はこちらからご覧いただけます。
地元宮城県の小学校教師に、学ぶ楽しさ伝えたい
長谷部さんの報告より抜粋--「ゼミナールでの活動の1年目は、主に自分の出身小学校での避難行動の検証などを行い、2年目は福島の原発被災について調べ、実際に現地に視察へ行き、語り部の方のお話を聴いたり、地元の学校の放射線教育に関する取り組みを取材してまとめたりする活動などを行った。すべて自分の学びたい、知りたいという思いが原動力となっており、学業や教育実習、アルバイトとの両立が難しく大変な面もあったが、なんとか乗り越えて自分が満足いくような結果を残せた。しかし、最後までやり遂げることは自分一人では不可能で、周囲の人達の支えがあったからこそ、叶えることができたと感じる。学びたいという気持ちを持って突き進むことが楽しいと気づき、本当に嬉しかった。次はこの喜びを小学校の先生として、子供達に気づかせてあげたい。東日本大震災から10年。私の中でもあの出来事が風化しつつある。二度とあのような苦しみが訪れることのないように教育の力で、復興や防災に力を注ぎたい」
【写真は、ゼミナールに参加した長谷部さん(左から3人目)】