宮城・山元町の高齢者施設再建に370万円を助成(2013年10月)
読売光と愛の事業団は、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県山元町のNPO法人「住民互助福祉団体ささえ愛山元」(中村怜子理事長)に10月、高齢者介護施設の再建資金370万円を助成しました。ささえ愛山元は、山元町の高台に再建した新しい施設で、今年8月からデイサービスや短期宿泊の受け入れを始めましたが、建築費や資材の高騰で資金が不足し、建物周りの整地や配水管の設置など法的にも必要な外構工事をできないでいたため、緊急支援しました。
震災後の津波により、JR常磐線・山下駅の東側にあったささえ愛山元の宅老所兼事務所は流出し、駅西側にあったデイサービスセンターも1階屋根まで浸水しました。事務所隣りの自宅離れで津波に襲われた中村理事長は、首まで水に浸りながら14時間後に助かりましたが、職員3人と中村さんのご主人が亡くなり、中村さんは暫く、生活意欲を失いました。
しかし、「助かった命で地域のために尽くしたい」と2011年6月にはデイサービスセンターの改修に乗り出し、10月から再開。全国からの支援物資を車に積んで仮設住宅を回る傾聴ボランティアや集会場に喫茶スペースを設ける「パラソル喫茶」なども始めました。また、震災後に設立された「被災地障がい者センターみやぎ」の県南支部の運営を委託され、地域障害者への物資搬入や移送サービスなども行ってきました。
こうした献身的な活動が町からも認められ、施設再建に厚労省から3000万円の補助金が出ることになりましたが、流出した施設があった場所は危険区域に指定されてしまったため、数キロ内陸の高台に用地を確保。建築資材や人手の不足で工事は大幅に遅れたものの、ようやく新施設でのサービス開始にこぎつけ、外構工事もこのほど終わりました。
中村さんは「さまざまなご支援をいただき、ここまで復興してきました。宅老やデイサービスだけでなく、仮設住宅やみなし仮設に住む方々が集まったり、手作り作品の教室なども行ったりする場にしたい」と抱負を語っています。
外構工事が終わった「ささえ愛山元」の新施設
利用者と談笑する中村怜子理事長(中央)