第7回読売福祉文化賞の受賞者(2010年03月)
◇JOY倶楽部プラザ(福岡市)
JOY倶楽部プラザは、社会福祉法人・福岡障害者文化事業協会が運営する全国でも珍しい音楽・芸術活動に取り組む授産施設です。その音楽部門「ミュージックアンサンブル」は、海外で知的障害者の演奏を聴いて感動した歯科医が患者に呼びかけたのがきっかけとして結成されました。台湾公演を成功させた2000年にはプロ宣言をして、CDも出し、本格的に演奏活動を開始しました。
メンバーはダウン症や自閉症などの障害を持つ男女27人で、プロミュージシャンとして1人月3~5万円を稼いでいます。レパートリーは、クラシックからポップス、ロックまで約60曲。今では年50回もの演奏会をこなし、楽譜が読めないなどのハンデを乗り越え、アコーディオンやマリンバを奏でる懸命な姿が大きな感動を呼んでいます。
コンサートに向け練習に打ち込む楽団員
◇さなぎ達(横浜市)
横浜の山下公園で1983年に起きた中学生によるホームレス襲撃事件を機にボランティアらがパトロールを開始、2001年にはNPO法人・さなぎ達を設立し、自立を促す拠点として「さなぎの家」を開設しました。日雇い労働者向けの簡易宿泊所が立ち並ぶ寿町にあり、ホームレスや生活保護を受ける高齢者らが日中、気軽に寄って話をしたり、相談したり、衣類や日用品の支給も受けられます。
このほか、ホームレスの人たちなどを対象に、低価格で食事を出す食堂の運営や、孤独死を防止する見守りネットワーク、働く場づくりなどの事業を展開し、支援を受け路上生活から脱した人も少なくありません。会話を通じて社会との接点を見つけ、自立につなげていく地道な活動を通し、ボランティアたちも共に成長しています。
さなぎの家で語らう利用者たち
◇APT(Asian People Together)(京都市)
APT(アプト)は、京都YWCA (キリスト教女子青年会)に属する市民グループです。国際化が進む中、さまざまな人々と文化が出会い、互いの人権を尊重する共生の社会実現を目指して、アジアからのニューカマーなど在日外国人向けの電話サービスをはじめとする各種活動を行なっています。
10年を超える電話相談は毎週2回月、木曜日の午後に実施。元教師やシスター、主婦らのボランティアが英語や(フィリピンの)タガログ語、タイ語などもまじえ、就労やビザ、医療、教育などの相談に乗ります。家庭内暴力など深刻な問題には関係機関とも連携して対処。言葉の壁に悩む相談者から、「日本に来てよかった」の一言を聞くのが何よりうれしいそうです。
寄せられた相談の対応を話し合うAPTのメンバー