読売アイバンク

34年前に角膜移植を受けた女性が新制作展で入選(2024年09月)

 読売アイバンクのあっせんで1990年に角膜移植を受けた女性から、国立新美術館(東京都港区六本木)で9月に開催の第87回新制作展に初めて入選しましたというお便りが事業団に届きました。

 女性は、東京都世田谷区成城の西野志織さん(55)。西野さんは中学生ぐらいから角膜が薄くなり、中央部分が突起する円錐角膜という病気にかかり、いずれは角膜移植が必要と言われるようになりました。21歳の時に検査を受けた東京医科大学病院(東京都新宿区)で、たまたま献眼者が出て、左目に角膜を移植してもらいました。移植後も左目の視力は低く、主に右眼を使ってきたそうです。

 大学は芸術関係の学科で絵画を描いていましたが、仕事、結婚、出産を経て、いったん中止。子育ても終わり、数年前から絵画に取り組むようになりました。描く対象は視力の関係で制約があり、身近な小さなものが中心です。

 新制作展には14年前に一度出品しましたが、入選は出来ず、今回2度目の挑戦で入選となりました。作品は「落花生の旅」というタイトルで、落花生を描いたはがき大の小さな絵を何枚も連ねたものです。

 アイバンク西野.jpg

 西野さんは「角膜の移植を受けた後、どんな暮らしをしているかはあまり紹介されないので、連絡させてもらいました。私にとって移植のおかげで、こうして絵も描け、入選も出来ました。描く題材は限られてしまいますが、自分なりのやり方で続けていきたいです」と話していました。

 新制作展は9月30日で終了しました。

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